『オーバーヒート』

 『ドーナッツレース』でチョッパーを奪われた。
 あと一度でも負ければ、仲間を確実に失う。
 例え最後に『コンバット』でルフィが勝ったとしても取り戻せる仲間は一人だけ・・・
 俺達に後は無い。

 銜えていただけのタバコを、一度だけ大きく燻らせて肺に紫煙を充満させると、左手でもみ消した。

 ゾロの・・・言いたいことはわかる。
 俺達は自分の意思で海に出た。
 ルールをわかっていてゲームを受けた。
 海賊のプライドを懸けて戦っている。

 全て自分で選んだはずの道。
 でも望まない結果になる事もある。
 チョッパーが・・・とかじゃなくて。
 誰か一人でも欠けてしまったら・・・

 そりゃ、ビビちゃんの時だって、すげぇ寂しかったぜ。
 でも、あれはビビちゃんが自分で決めて、自分で選んだんだ。
 孤独と闘い、絶望を垣間見て、それでも諦めずに前だけを見続けたプリンセス。
 彼女の愛する人々が、そして誰よりも自分が幸せになる為の道だったからな。

 今回はそうじゃない。
 負ければ、仲間も誇りも失うえげつない戦いだ。

 (絶対に負けられねぇ・・・)

 (つうか負けたくねぇ。)

 体中にみなぎる闘争心に、タバコを素手で握りつぶした火傷の痛みさえ遠のいていく。



 「おい。飲んだくれてるそこのクソ剣士。ちょっと面かせや。」
 自分の言いたいことだけ言うと、また酒を飲み始めたゾロの背後に歩み寄る。
 太陽を背にゾロを見下ろすサンジの表情は、逆光のせいでゾロにはわからない。
 ただ、光を放つ金髪と、サンジを包む金色の闘気だけが見える気がした。

 「ちょっと!何してんの、サンジくん!こんな時に喧嘩なんて!!」
 ナミが咎めるように声を上げた。
 「ナミさぁ〜ん。ちがいますよ〜〜〜〜!」
 クルリと振り返ると、いつもの女性限定の溶けるような笑顔でサンジは答える。
 「次のゲームの作戦会議ですよ〜。ご心配にはおよびません!」
 動く気配の無いゾロの首根っこを掴むと、引きずるようにサンジはその場を離れていく。
 「サンジくん!次のゲーム開始まで休憩は30分だけだから!すぐ戻ってくるのよー!!!」
 「はい!ナミさん!了解しました〜〜〜〜〜〜〜〜」




 遠くで、勝利を祝う敵船のお祭りのような騒ぎが聞こえている。
 いつまにやら張られていた、無数のテントの内の1つに2人はいた。
 明かりを付けないテントの中は薄暗い。
 丁度、メリー号のキッチンくらいの広さの場所に、箱やら道具やらが散乱していた。
 支柱に寄りかかりボソボソと話すサンジ。
 その正面にあぐらをかき、ただ黙って聞いているゾロ。

 「良いか、この勝負は絶対に負けられねぇ。」
 「チョッパーは必ず取り戻す。」
 「俺様の足手まといになりやがったら、速攻蹴り殺すから覚えとけ。」
 一通りしゃべって落ち着いたのか、サンジは胸ポッケからタバコを取り出し銜えようとする。
 と、静かに立ち上がったゾロ左手がサンジの腕を押しとめた。

 「俺も、お前に言いてぇことがある。」

 「・・・・・・何だ?」

 「やらせろ」

 「はぁ?」

 「今すぐ犯らせろ」

 「・・・・・・・・・はぁぁぁぁ?!」

 カッとサンジの顔が朱に染まる。

 「てめぇ!今までの俺の話を聞いていたか!あぁ?!」
 「耳に藻でも詰まったか?!!!」
 「これから大事な戦いをするんだって!わかってんのかぁ!!!」
 今にも暴れだす勢いのサンジの腰を、空いている右手で引き寄せ、 軽く足払いをするとドスッという音と共にサンジは床に転げ、ゾロが圧し掛かってきた。

 狭いテントに砂埃が舞う。

 両手を縫い止められ、膝も固定され、身体の支点を押さえられたサンジは身動きが取れない。
 (クソ、この筋肉マリもめ。無駄に鍛えてやがるから重てぇじゃねぇか・・・)
 下になった体勢のままサンジはゾロを睨み付ける。
 しかし、ゾロはただ黙って琥珀色の瞳をサンジへ向けていた。

 「あのな・・・今は大事な時なんだ。てめぇの足りない脳ミソでもわかんだろ。 こんなことしてる場合じゃねぇんだよ、後にしろや。」
 サンジの言葉に、ゾロは一度だけ瞳を閉じ一呼吸すると、揺ぎ無い視線をサンジへと向ける。
 「俺達は海賊だ。“また後で”なんて、必ず約束できんのか?戦いで明日をも知れぬ命じゃねぇのか? いつでも・・・一緒にいれるこの瞬間だけが確かなもんじゃねぇのか・・・?」
 仲間を奪われた。
 次、勝ちさえすれば良い。
 でも、今仲間としてのチョッパーはいない。
 それが現実。
 自分達の力を信じている。
 だからって・・・胸に押し寄せる焦燥感を、ゾロだって消し去れるわけじゃない。
 「俺は・・・今。てめぇを抱きてぇんだ・・・・・・駄目か?・・・・・・サンジ」
 ゾロの瞳の奥に、普段見られない炎のゆれが見える。
 (クソ・・・こんな時だけ名前、呼ぶなんて・・・ずりぃだろ・・・・・・)
 押えられていた右手をなんとか外すと、サンジはタバコに火を付け・・・吸わずに、腕を伸ばした先にポテリと置いた。



 「その、タバコの火が消えるまでだ。」

 空いた手をゾロの首に回す。

 「ゾロ・・・好きにしろ」





 ゾロの指が、縦横無尽にサンジの肌を滑る。
 ネクタイを外し、ベルトを抜き、シャツを剥ぎ、ズボンを下ろす。
 脱がせた服は全て、箱の上に放る。
 一応は汚れないよう気遣っているのだろうか。
 最後の一枚を取り払われ、サンジだけが全裸になった。
 テントの支柱を背に立ち、右足はゾロに抱えられ、ゾロの右手はサンジの中心にゆっくりと指を抜き差ししている。
 「くっ・・・あ・・・な・・・んで、俺・・・だけ・・・脱がす・・・ん・・・だ」
 切れ切れに文句を紡ぐが、サンジの腕はゾロの背に回され、シャツをギュッと握り締めていた。
 「俺がてめぇに触りてぇだけだからな・・・気にすんな・・・それに、この方がそそるだろ?」
 「アホ・・・クソ変態剣士め・・・・・・そんな・・・悠長なこと・・・言ってんと ・・・ほら・・・火・・・消える・・・ぞ」
 火を点した時より半分程の長さになったタバコは、砂の上に転がってるせいか、少しだけ火が弱くなっていた。

 ゾロがズボンに手を掛け、自身を取り出すと、それは既に手で支えなくても硬くそり返っていた。
 ゴク・・・とサンジは喉を鳴らし、身体から力を抜いた。
 支柱とゾロの間に挟まれた、サンジは身をくねらせてゾロを迎える。
 薄暗い、光の射さない小さなテントで、乾いた砂の匂いに混じり、ゾロとサンジの雄の香が充満していく。
 「くっ・・・あ・・・ん・・・・んあぁ・・・・・・」
 ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・
 愛の囁きも、甘い睦言も何もない。
 こらえ切れず、僅かに漏れるサンジの声とゾロの荒い息・・・  そして、結合した部分のクチュクチュという音だけが響いている。


 ゾロの腰を打ち付ける音が早くなるのと共に、2人の息も上がっていく。
 「おい・・・サンジ・・・そろそろ・・・イクぞ・・・・・・」
 「ま・・・まて・・・ナカで・・・出すな・・・ゲームに・・・響く・・・んあぁ・・・」
 ゾロは一度大きく、腰を打ち付けるとズルと自身を抜いた。
 そして、サンジの右足を解放すると、支えを失ったサンジはガクリとくず折れる。
 ゾロはサンジの金髪を掴み仰向かせると、顔に勢い良く白い体液を吐き出した。
 「く・・・あっ・・・・・・・」
 と同時に、サンジも身震いさせると、砂の上に欲望を吐き出した。





 いつの間にか、タバコから流れていた紫煙も姿を消していた。





 「よりによって・・・顔射かよ・・・てめぇ・・・覚えとけ」
 サンジは身づくろいしながら、ゴシゴシとゾロの手ぬぐいで顔を拭いている。
 「だって・・・好きにしろっつたじゃねぇか」
 「だからって・・・顔に出すかよ・・・あぁクソ・・・てめぇの匂いがする」
 うつむいて、またしてもブツブツと文句をいうサンジの頬を、突然ゾロがベロリと舐めた。
 「こんなんじゃ、やった気しねぇ。後でもう1回やらせろ」
 「調子に乗んじゃねぇ〜〜〜〜〜!」
 ゴスッ!
 高々と掲げたサンジのカカト落しがゾロの頭にヒットした。
 足元に砂埃にまにれたゾロが、ゴホゴホとむせている。

 サンジはゾロに背を向け、テントの入り口に手を掛ける、すると一気に外の光が差し込んできた。

 「俺が欲しいか・・・クソ剣士。“続きは後で”だ。ゲームに勝ったら・・・それこそ好きなだけやらせてやる」

 ゾロに背を向けたまま、サンジはテントを後にした。










 「サンジく〜〜〜〜ん!何してたのよ!遅いじゃない〜〜〜〜〜〜ほら、もう始まるわよ!」
 「ナミさ〜〜〜〜〜ん。試合前に一服してきました!充電満タン!  貴女に勝利を捧げますので、安心して見ていてください」
 サンジはナミに笑顔を向けると、ゾロを振り返る。

 「行くぞ、ゾロ。」

 「おう」

 「邪魔しやがったらオロスからな!」


 フィールドに2人が向かうと、敵からも味方からも歓声が沸きあがる。
 乾いた風が吹き、全ての音を巻き上げる。


 『俺達は絶対負けねぇ』





 End

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書きたかったのは「タバコ1本分だけのの逢瀬」なのですが・・・(笑)

あぁとうとうやっちゃいました(^^;;;
おもいっきりネタバレです。
すみませんm(_ _)m
でも、どうしてもガマンできなかったのv

デービーバックファイトネタです。
えっと『グロッキーリング』の直前でした。
もうね、もうね、このくらいはやっちゃってるでしょ!
ってか、犯ってるよきっと!
レンはこの数週間、ずっとこんなものが頭を巡っていました。
あぁv
これも一応DLFです。
お気に召しましたら御自由にお持ち帰り下さい。
でも2つだけ注意点があります!
18禁なので、それ未満のお嬢様はご遠慮下さいm(_ _)m
そして、ネタバレなので、「それでも良いわ」という方のみお持ち帰り下さい。

それでは、また!
サン誕期間終了までまたお話増やすと思いますので!
またいらして下さい。
そしてここまでお読み下さって、ありがとうございました。


Happy birthday Sanji!!!
貴方の生まれてきたこの日をとても愛しく思います。

そして、サンジを愛する全てのレディに愛を込めて・・・

                         2004.03.02  キメラ.A / 美影 レン


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