欲しいものほど手に入らない
そんなのはわかってる
でも
でも
それでもお前が
が忘れられない
お前が欲しいんだ……
『布袋葵』
「ほれ、陸奥!来るのか?来ないのか?」
「そ…そんな事言われてもっ…というか才谷さん!新選組なんかに通うの止めて下さいよ!」
「そげな固い事言うもんじゃないき。
新選組は楽しい所ぜよ?」
「才谷さん!いい加減自分の立場ってのを分かって下さいよ!!」
天下の往来で口論を続けている陸奥と才谷。
特に陸奥は行きたくないが行きたいという複雑な想いとも戦っていた。
「陸奥〜、おまん…少しは素直にならんと幸せにならんぜよ。」
「どういう理屈で言ってるんですか…それ…。」
がっくりと陸奥がうなだれた瞬間
しめたとばかりに才谷はとてつもない速さで新選組へと走っていった。
「…ったく…。しょうがない人だぜ。」
溜息をつき河原で横になる。
ひんやりとする風が心地よく陸奥はそっと目を閉じた。
「…。」
ボソリと呟いたその名前は風に吹かれなかったものになろうとしていたがそれは叶わなかった。
「呼びましたか?」
風と同じくらい心地よく響く声が陸奥の耳へと届く。
陸奥は目を見開きバッと声が聞こえた方向へ目をやると
毛嫌う新選組なのに行きたくなる原因がいた。
その原因は陸奥がずっと思って
片時も忘れられず
欲しいと願ってやまない女性
「こんにちは陸奥さん。偶然ですわね?」
「お…おぉ……って!
ウェイトッ!!」
にっこりと笑って陸奥の傍に座ろうとすると陸奥が慌ててが腰を掛けようとしていた場所に手ぬぐいを広げる。
陸奥なりの気づかいにはくすぐったい気持ちになり
「有難うございます。お優しいのですね?」
とふわりと笑った。
その笑みに陸奥は頬を赤め
「これくらい男として当たり前だ!!///」
と悪態ついた。
「陸奥さん?お顔の色が優れませんけど…何かありました?」
小首を傾げるは少しだけあどけなくあり
陸奥の胸をときめかせた。
「いや…何でもねぇ…。」
「そう…なら私は干渉しませんわ。
でも…」
少し言葉を濁すに陸奥は何事かと顔を見つめる。
「でも…陸奥さんが元気ないと何だか変な感じですわ。」
「……俺だって元気のない時くらいあるぜ。」
「まぁ…お疲れになってるのではないですか?」
「ドントウォーリー…大丈夫だ。」
否、大丈夫ではない
俺はが好きだ
愛してる
だけど
は新選組の隊士で
俺とは別の道を進んでいる奴
これが両思いであればまるで英国の童話のロミオとジュリエットのようだと笑うがそうではない
完璧俺の片思い
さらに言えば
は好きな奴がいるらしい
つまりは失恋決定
これほど苦しいと思った恋をした事ない
だけどそれだけ俺はが好きだ
だからに会うと心が弾む
愛しいさと辛さが……俺の中で渦巻くんだ。
「陸奥さん?本当に大丈夫ですの…っ!?」
顔を覗きこんできたを陸奥は自分の胸に収めた。
いきなりの事では目を見開きそのまま固まってしまう。
そして状態を確認すると頬を染め上げ陸奥から離れようとするが陸奥はさらに力をこめた。
「……ソーリー…。俺やっぱやられてるみたいだ…。」
「え?」
「……冷てぇ〜気持ち〜…。」
の体温を感じるように陸奥はゆっくり目を閉じた。
も始めは戸惑っていたがゆっくりと陸奥の背中に手を回し
宥めるように背中を撫でた。
「暑さにやられたのかしら?
ではこれで陸奥さんの疲れが取れるなら暫くこのままで構いませんわ。」
微笑んで話しかけるに陸奥は目頭を熱くさせる。
拒絶してくれた方がいいのに
アイツがいるからって突き飛ばせばいいのに
暴れればいいのに
…そしたらジョークだって笑って言ってからかうのに
「…」
「はい?」
「俺は疲れてねぇし、太陽の暑さに頭はやられてねぇよ。」
「え?」
陸奥の発言に首を傾げ見上げると真っ直ぐに見つめる陸奥の瞳があった。
はその瞳に囚われたかのように陸奥の瞳から反らせなかった。
「……」
何かを囁くと陸奥はの額に唇を落とす。
いきなりの陸奥の行動には頭が真っ白になっていた。
陸奥も自分のした行動に驚き固まってしまった。
「さーーんっっ!!」
突然の声に目を見開き二人はバッと離れる。
「やっぱりさんだっ!
さっき原田さんが捜してましたよ〜?」
「今行きますわ。
陸奥さん…その…」
「あー…いきなりで悪かったな。忘れてくれ。
ほら…行ってこいよ。アイツが呼んでるんだろ?」
陸奥はニッと笑みを浮かべ、ポンッと背中を叩く。
その反動では走っていった。
額を抑え切なそうに表情を歪ませて…。
そんなの表情を知らない陸奥はゴロンと再び寝転んだ。
「だー…やっちまった…。
……クソッ…。」
ギリッと歯を噛み締めそのまま空を見つめ
ゆっくりと手を伸ばす
「…Please become mine.
なんて…言っちまったけど
欲しいモノ程…手に入らないんだろうな…。」
フッと笑みを浮かべる陸奥が手を伸ばした先には真っ白な雲があった。
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桜挿頭 / ともさまより頂きましたv
最後に陸奥さんが呟いた言葉
「Please become mine.」は『私のモノになって下さい』
という意味ですが、陸奥さんはヒロインを好きだけれども、
ヒロインを傷つけてまでは奪おうとはしないから、
思わず英語で本音が零れてしまったようですよv
もぅもぅもぅ・・・陸奥さんの切ない想いにヒロイン同様
胸が苦しくなってしまいました(涙)
ともさん、お誕生日に素敵なお話をありがとうございました!!!
大好きです〜〜〜〜〜vvv
2008.08.13 紅月 レン
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